羊と鋼の森 宮下奈都
いろいろあり、久しぶりの投稿。
ふらっと立ちよった本屋で何気なく手にした本。
「羊と鋼の森」
背表紙のあらすじを読んでも特にひかれるところもなく、いつもなら書棚に戻してしまっていたと思う。
本屋対象を受賞したのも知っていた。
その時も特に興味を抱くことはなかった。
なのに、書店の店員さんが書いた言葉に目が釘付けになった。
確か「綺麗な言葉に溢れている」。
少し前から勉強しだした英語も言葉に興味があるから。
日本語もしかり。
ピアノ調律師のお話という時点で、読み進められるか一抹の不安もあったが、ぐんぐん引き込まれていった。
出だしから作者の言葉に自分とは無縁の世界へ入り込むことができた。
初めて読んだ作家さんだったが、綺麗な言葉や文章の数々に、心が洗われた。
とても読後感の良い本。
そして、文中で紹介された、原民喜の言葉。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
今回の本では、この本の作者だけでなく、原民喜という、今まで出会うことのなかった2人の作家さんに出会うことができた。
とても幸せだ。