「山月庵茶会記」葉室麟
毎朝 満員電車に揺られ、電車から吐き出されるようにして降りた駅から、テクテク職場まで歩く。
そんな変わらない毎日だが、1冊の本との出会いでまた変わったものになる。
「山月庵茶会記」葉室麟
うっとりするような情景描写。
上品な登場人物。
読み出すと、一気に日常を忘れ、本の世界へ。
私も昔習った茶道に自分がその時は感じられなかった奥行きに心動かされた。
千利休が茶をたてた戦国の世。
今日、茶を差し上げた客は明日には命を失い、家がほろびておるかもしれぬ。…
茶をたてる心は、相手に生きて欲しいと願う心。今日の茶を飲み、明日の茶も飲んで欲しいと思えばこそ、懸命に茶をたてる。
そして、茶をたてるおのれ自身もいきていようと思う。
こんな素敵な作品を読むことができて、生きていて良かったと思えた。